枯れ葉舞い散るある日
錆びた戸を開いた
誰も知らない街
僅か置かれた家具と
古ぼけたピアノと
描きかけの絵画だけ
憂いを帯びた眼は
窓際の写真立てを
この世界に何一つ
残せるものはないのに
誰もいないこの場所で
穩やかな時が満ちている
華もないこの部屋で
彼はただ描いた
二つだけの色で
私の弾くピアノと
彼の筆の音が
いつまでも流れていた
どうかこの時間が
永久であるように
この世界にただ一つ
残せるものがあるならば
かたちのないこの想いと
君だけを待つ未来だけ
この部屋で描かれるのは
何もない空虚だけで
彩一つもないのに
ただなぜかとても暖かい
この世界で何一つ
残せるものはないのに
二人だけのこの場所で
思い出ばかり満ちていく
やがて季節は移り
草木も努吹いた
鮮やかに映る街
思い出の窓際に
彼の絵を残して
鍵をかけて部屋を出る
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